普段、あなたの右手はパンフレットに付いてきたボールペンで流々と文字を書き、わたしの右手は630円のボールペンでもたどたどしい子供の字しか書けない。
いつも、あなたは大きなダンボールを抱えて運び、わたしは封筒の束を両の手から溢れそうに持つ。
大きくてしっかりした手。小さく丸っこい手。
誰がどう見ようと、あなたは成熟した大人でわたしは未熟な若人。そういう関係。
「暑いね。さっさと終わらせて戻ろう」
汗をタオルで拭きながらあなたは言う。わたしのもやもやなんか何も知らずに。
あなたの手は器用で力強い。わたしのと同じ構造をしているとはとても思えない。
もしも。
もしもあなたの冷たい手がわたしの手じゃなくて……、ストップ。やめよう。やめましょう。想像だけで狂ってしまうのは悲しいから。
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